B型肝炎・C型肝炎
B型肝炎・C型肝炎

肝炎とは、肝臓に炎症が起きた状態のことです。肝臓は「沈黙の臓器」とも呼ばれており、少々ダメージを受けても自覚症状が出にくいという特徴があります。そのため、気づかないうちに炎症が進行し、慢性肝炎・肝硬変(かんこうへん:肝臓が硬くなってしまった状態)・肝臓がんへと悪化してしまうケースが少なくありません。
肝炎の原因はさまざまですが、日本で特に多いのがウイルス性肝炎です。中でもB型肝炎ウイルス(HBV)とC型肝炎ウイルス(HCV)による肝炎は、慢性化しやすく長期的な管理が必要な病気として知られています。
日本にはB型肝炎ウイルスのキャリアが約110〜140万人、C型肝炎ウイルス感染者が約100〜150万人いると推計されています。しかし、多くの方が感染に気づいていないとされており、「知らないうちに感染していた」というケースも珍しくありません。特にC型肝炎は、かつて輸血や注射針の使い回しが行われていた時代に感染した方が多く、現在50〜70代の方を中心に感染者が多いとされています。
B型・C型肝炎はともに、慢性化した場合に自覚症状がほとんど出ないことが多いのが特徴です。「肝炎があってもずっと元気に生活できていた」という方も多く、それが発見の遅れにつながることがあります。急性期(感染直後)に現れることがある症状は以下のとおりです。
ただし、急性期でも症状が出ない方も多く、慢性肝炎では症状がほぼないまま経過することが大半です。「症状がないから大丈夫」ではなく、定期的な血液検査で肝臓の状態を確認することが大切です。慢性B型肝炎・C型肝炎を放置すると、長期的には肝硬変や肝がんへ進行するリスクがあります(B型肝炎ウイルスキャリアからの年間肝発がん率はHBe抗原陽性者で0.5〜1%、C型慢性肝炎で1〜3%、肝硬変では3〜8%と報告されています)。
B型肝炎とC型肝炎では、感染する経路に違いがあります。それぞれの特徴を知っておくことが、予防や早期発見につながります。
B型肝炎ウイルスは、血液・体液(精液・膣分泌液など)を介して感染します。
出産時に母親から赤ちゃんへ感染します(垂直感染)。現在は出生後すぐにワクチン接種が行われており、予防できるようになっています。
感染者との性的接触によって感染することがあります。
感染者の血液が傷口や粘膜に触れることで感染します。かつては輸血や注射針の使い回しなどによる感染もありましたが、現在は医療現場での管理が徹底されています。
B型肝炎ウイルスはワクチンで予防できます。2016年10月からは0歳児に対する定期接種が始まっており、未接種の方は医師にご相談ください。
C型肝炎ウイルスは、主に血液を介して感染します。
1992年以前は輸血によるC型肝炎ウイルスの感染を防ぐスクリーニング(検査)が十分でなかったため、輸血によって感染した方が多くいます。
かつて注射針や医療器具の使い回しが行われていた時代に感染したケースがあります。
不衛生な器具を使用した場合に感染するリスクがあります。
C型肝炎はB型肝炎と異なり、現時点では予防ワクチンがありません。そのため、感染の早期発見と早期治療が特に重要です。
B型・C型肝炎の発見や状態の把握において、血液検査は最初の重要なステップです。採血だけで多くのことがわかるため、体への負担が少なく、手軽に受けられる検査です。血液検査で確認できる主な項目は以下のとおりです。
肝臓の細胞がダメージを受けると、これらの数値が上昇します。「肝臓の数値が高い」と言われたことがある方は、肝炎が隠れている可能性があります。
HBs抗原が陽性の場合、B型肝炎ウイルスに現在感染していることを示します。
HCV抗体が陽性の場合、過去または現在にC型肝炎ウイルスに感染していたことを示します。陽性の場合はさらに詳しい検査(HCV-RNA検査)でウイルスが現在も体内にいるかを確認します。
血液中のウイルスの量を調べます。治療効果の確認や治療方針の決定にも使われます。
肝臓がんのリスクがある方では、がんの早期発見を目的として定期的に測定します。
「健康診断で肝臓の数値が気になった」「過去に輸血を受けたことがある」という方は、ぜひ一度血液検査を受けてみてください。
B型・C型肝炎の診断は、血液検査を中心に、必要に応じて画像検査や組織検査が組み合わせて行われます。
肝機能・ウイルスの有無・ウイルス量などを調べます。感染しているかどうかの確認から、病気の進行度の把握まで、幅広い情報が得られます。
お腹に超音波を当てて、肝臓の大きさ・形・硬さ・腫瘍の有無などを確認します。当院では高精度エコー(ATI・SWE搭載機)を導入しており、肝臓の脂肪量や硬さ(線維化の程度)を数値で評価することも可能です。
肝臓の詳細な状態や、腫瘍(がん)の有無・位置・大きさを調べます。腹部超音波検査で異常が疑われた場合に追加で行われます。
皮膚から細い針を刺して肝臓の組織を少量採取し、顕微鏡で調べる検査です。肝炎の進行度(線維化の程度)を正確に把握するために行われることがあります。
超音波を使って肝臓の硬さを測定し、肝硬変への進行具合を調べます。針を刺さずに受けられるため、体への負担が少ない検査です。
B型・C型肝炎の治療は、ウイルスの種類・感染の状態・肝臓へのダメージの程度によって異なります。近年は治療薬が大きく進歩しており、特にC型肝炎は高い確率でウイルスを排除できるようになっています。
B型肝炎は現在の医学では「ウイルスを完全に排除する」ことが難しいとされていますが、ウイルスの増殖を抑えて肝臓へのダメージを最小限にすることが治療の目標です。
ウイルスの増殖を抑える飲み薬です。1日1回の内服を継続することでウイルス量を抑え、肝硬変・肝臓がんへの進行を防ぐことが期待できます。
免疫を高める注射薬で、一定期間の治療でウイルスの活動を抑えることを目指します。
ウイルス量・肝機能・画像検査を定期的に行い、肝臓の状態を継続的に管理します。
C型肝炎の治療は近年大きく進歩しており、直接作用型抗ウイルス薬(DAA:Direct-Acting Antivirals)と呼ばれる飲み薬によって、多くの患者さんで高い確率でウイルスを体から排除できるようになっています。
1日1回の内服薬を8〜12週間程度服用するだけで、95%以上の方でウイルスを排除(SVR:持続的ウイルス陰性化)できる治療法です。副作用も比較的少なく、多くの方が外来で治療を受けられます。ウイルスが排除されると、肝臓の状態の改善や肝臓がんリスクの低下が期待できます。
ウイルスが排除された後も、肝臓の状態を定期的に確認する通院が必要です(特に肝硬変まで進行していた方は、SVR達成後も年1〜2回の腹部エコーで肝がんサーベイランスを継続します)。
C型肝炎は「治せる病気」になっています。「昔感染したかもしれない」「検査を受けたことがない」という方は、ぜひ一度検査を受けてみてください。
以下に当てはまる方は、ぜひ一度当院へご相談ください。
「症状がないから大丈夫」は、肝臓に関しては特に注意が必要です。肝炎は症状が出にくいまま進行し、気づいたときには肝硬変や肝臓がんになっていた、というケースも起こりえます。早期発見・早期治療が肝臓を守る最大の方法です。当院では、肝臓専門医・肝胆膵外科高度技能専門医として、血液検査・高精度エコー(ATI・SWE)・腫瘍マーカーなどを通じて肝臓の状態を丁寧に確認いたします。気になることがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。
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