GLP-1による肥満症治療
GLP-1による肥満症治療

GLP-1受容体作動薬は、肥満症治療薬として用いられるお薬です。
GLP-1は私たちの体内に存在するインクレチンというホルモンの一種で、食事の摂取に伴って小腸から分泌され、満腹感を高めたり食欲を抑制したりする作用を持っています。GLP-1受容体作動薬はこの体内のGLP-1に類似した作用を持ち、週1回の皮下注射によって効果的な減量をサポートします。
当院では、単なる減量や美容・痩身目的ではなく、肥満に関連する健康障害や肝臓疾患の改善を目的とした医療的アプローチとしてGLP-1受容体作動薬を用いた治療を行っています。
特に、肥満を背景とした代謝機能障害関連脂肪性肝疾患(MASLD)や、その進行形である代謝機能障害関連脂肪肝炎(MASH)に対する治療の一環として位置づけています。
脂肪肝や肝炎の主な原因は、過剰なエネルギー摂取、運動不足、ストレス、遺伝的要因などが複雑に絡み合った代謝異常にあります。
肥満や脂質異常症、高血圧、2型糖尿病などの生活習慣病が背景に存在することで、肝臓へ脂肪が過剰に蓄積します。
MASLD(マッスルディー/マッスルド)とは、アルコール摂取が原因ではなく、肥満や血糖値・血圧・脂質などの代謝異常に伴って肝臓に脂肪が溜まる疾患です。
脂肪肝の初期段階であり、この時期に適切な生活習慣の改善や治療を行えば、元の健康な状態へと戻せる可能性があります。
MASLDが進行し、蓄積した脂肪によって肝臓に「炎症」が加わった状態をMASH(マッシュ)と呼びます。
炎症が持続すると肝臓の細胞が破壊され、かたくなる「線維化」が進行していきます。
MASLDおよびMASHの病状は段階的に進行し、放置すると不可逆的な(元に戻らない)変化を引き起こします。

MASHにおける肝臓の線維化(かたさ)は、F0からF4までの5つのステージに分類されます。
| F0(線維化なし) | 肝臓に脂肪は蓄積していますが、まだ線維化(組織がかたまる変化)は見られない段階です。 |
|---|---|
| F1(軽度の線維化) | 肝臓の細胞周囲にわずかに線維化が生じ始めた状態です。 |
| F2(中等度の線維化) | 線維化が周囲に広がり始め、炎症も持続している状態です。 |
| F3(高度の線維化) | 線維同士がつながり、肝臓全体に網目状の線維化が広がる危険な段階です。 |
| F4(肝硬変) | 肝臓全体がかたくなり、正常な機能が失われた不可逆的な段階です。 |
F0からF3までの段階であれば、適切な減量や薬物治療によって線維化の改善や正常化が期待できますが、F4の肝硬変に達すると元の状態へ戻すことは困難になります。そのため、可能な限り早い段階で治療介入を行うことが大切です。
当院では、単なる減量目的ではなく、「肝臓を守り、将来の重症化を防ぐ」ための医療的減量治療としてGLP-1の処方を行っています。
脂肪肝の治療において減量は極めて重要であり、体重の5%減で肝臓の脂肪が、7〜10%減で炎症や線維化まで改善しやすいと報告されています。
GLP-1を用いた臨床試験では、およそ半年(24週)で約10%、1年(52週)で約15%の減量が実証されており、この十分な体重増加抑制・減量効果によって脂肪肝(MASLD/MASH)の根本的な改善・治療へとつなげることが期待できます。
治療前後の肝臓の状態を客観的に評価するため、高精度超音波診断装置を導入しています。
肝臓の脂肪量だけでなく、組織のかたさ(線維化の度合い)を数値化して追跡測定することで、治療効果を可視化します。
院長は「日本肝臓学会 肝臓専門医」および「肝胆膵外科高度技能専門医」の資格を有しています。
減量を「肝臓を守るための手段」として捉え、医学的エビデンスに基づいた最適な治療計画を設計・管理します。
当院では胃カメラ・大腸カメラ等の内視鏡検査から、高血圧・脂質異常症・2型糖尿病などの併存疾患の管理まで一つの窓口で診療を行っています。
必要に応じて高次医療機関へのスムーズな連携も整えています。
当院のGLP-1受容体作動薬を用いた治療は、以下の基準を満たし、医師が医学的に必要と判断した方が対象となります。
※美容目的や単なる痩身目的での処方は行っておりません。
以下の項目に該当する方は、安全上の理由からGLP-1を用いた治療を受けることができません。
GLP-1は、週1回ご自身で皮下注射していただくお薬です。当院では薬物療法だけに頼るのではなく、栄養指導や運動指導を併行して行い、根本的な生活習慣の改善を目指します。
最大2.4mgまで増量できますが、ほとんどの方は1.0mgまでで十分な効果が得られることが多いです。
※副作用の出現状況や体調の変化に合わせて、医師が慎重に調整します。効果不十分な場合や副作用が著しい場合は投与中止を検討します。治療期間の目安は16週間〜約1年4か月です。
初診・適応判断・初回検査
問診、身体測定、血液検査および高精度エコー検査を行い、GLP-1受容体作動薬を用いた治療の適応を満たしているか、禁忌がないかを厳密に確認します。
自己注射の開始
適応が確認されたら処方を行い、院内で看護師・医師が手技や注意点を丁寧にご説明します。ご自身で週1回、お腹・太もも・上腕などに皮下注射を行っていただきます。
月1回の定期受診・用量調整
月に1回ご来院いただき、体調変化、副作用の有無、体重推移を確認しながらお薬の用量を調整していきます。
3〜6か月ごとのエコー再評価
3〜6か月ごとに高精度エコー検査や血液検査を行い、肝臓の脂肪量や線維化、肝酵素(ALT/AST)の改善度を数値で再評価します。
| GLP-1受容体作動薬 0.25mg(4週間分/1か月) | 15,000円(税込) |
|---|---|
| GLP-1受容体作動薬 0.5mg(4週間分/1か月) | 20,000円(税込) |
| GLP-1受容体作動薬 1.0mg(4週間分/1か月) | 27,000円(税込) |
※本治療は公的医療保険の対象外となります。
GLP-1を保険診療で処方するためには、国の定める「最適使用推進ガイドライン」に基づき、施設側が学会の教育研修施設等としての認定を受けている必要があります。
当院は診療所として高い専門性を有しておりますが、当該施設要件を満たしていないため保険適用外となり、自費診療にてご提供しております。処方するお薬自体は国内で肥満症治療薬として正式に承認されたものです。
激しい腹痛や持続する吐き気などの異常を感じた場合は、直ちに投与を中断し当院にご連絡ください。
GLP-1は食欲を抑えて減量をサポートするお薬ですが、薬だけに頼るのではなく、適切な食事療法や運動療法を組み合わせることが不可欠です。
薬の力を借りながら健康的な生活習慣を定着させることが、治療終了後のリバウンド防止にもつながります。
GLP-1の投与を中止すると、食欲抑制作用が薄れるため体重が戻りやすくなることがあります。
治療期間中に適切な食習慣や運動習慣を身につけ、維持していくことが重要です。
注射に使用する針は非常に細い専用針(30〜34ゲージ)を採用しているため、痛みは軽微です。
極めてシンプルな3ステップで投与できるよう設計されたペン型注入器ですので、初めての方でも安心して操作していただけます。初回処方時にはスタッフが丁寧に使い方をご案内します。
MASLDや、肝硬変に至っていないMASH(F1〜F3ステージ)の段階であれば、体重減少や生活習慣改善によって肝臓の脂肪や炎症、線維化の改善が十分に期待できます。
ただし、F4(肝硬変)まで進行してしまうと元の状態に戻すことは困難となるため、早期発見と早期治療が極めて重要です。
TOP