2026年8月12日

健診の結果票に「便潜血陽性」「要精密検査」と書かれていた。おなかの調子はいつもどおりなのに、なぜ。そう思って、このページにたどり着いた方が多いのではないでしょうか。まず知っていただきたいのは、陽性=がん、ではないということ。そしてもう一つ、それでも精密検査は必ず受けていただきたい、ということです。
便潜血が陽性になった方のうち、実際に大腸がんが見つかるのはおよそ3%です。多くの方は、痔や大腸憩室からの出血だったり、たまたま便に血が混じっただけだったりします。ですから、結果票を見て眠れなくなるほど心配される必要はありません。
ただ、その一方で気がかりなデータがあります。日本大腸肛門病学会によれば、便潜血が陽性でも、精密検査(大腸内視鏡)を受けているのは約60%にとどまります。つまり10人に4人が、そのままにしてしまっています。この記事は、その4人にならないために書いています。
- この記事でわかること
- 便潜血検査が何を調べているのか
- 陽性と言われた方に、実際に何が見つかっているのか
- 大腸カメラを受けるまでの流れと、不安への対処
便潜血検査は、何を調べている?
便に、目に見えない量の血液が混じっていないかを調べる検査です。大腸にがんやポリープがあると、便が通過するときに表面がこすれて、ごくわずかに出血することがあります。その血液を拾い上げるのが、この検査の役割です。
ただし、がんやポリープがあっても、いつも出血しているわけではありません。だから2日分の便を提出していただきます。1日だけでは見逃してしまう可能性があるためで、2日のうち1日でも陽性なら「陽性」として精密検査の対象になります。「1日目は陰性だったから大丈夫」ではない、ということです。

国のガイドラインでは、40歳から74歳の方に、年1回の便潜血検査が推奨されています(推奨グレードA)。手軽で体への負担がなく、大腸がんによる死亡を減らすことが科学的に確かめられている、優れた検査です。ただしそれは、陽性のときにきちんと精密検査を受けて初めて成り立つ仕組みです。
陽性の方には、実際に何が見つかっている?
精密検査(大腸カメラ)を受けた方の内訳は、おおよそ次のようになります。
- 約3%の方に大腸がんが見つかります
- 約30〜40%の方に大腸腺腫(ポリープ)が見つかります
- 残りの多くは、痔や大腸憩室からの出血、あるいは明らかな異常なしという結果です
ここで見落とされがちなのが、真ん中の「ポリープが見つかる30〜40%」です。がんではなかった、よかった、で終わる話ではありません。大腸がんの多くは、この腺腫というポリープから時間をかけて育ちます。つまり検査は、がんを見つけるためだけでなく、がんになる前の芽を摘むためにも行われます。
大腸内視鏡でポリープを切除することにより、大腸がんによる死亡が約53%減少すると報告されています。「陽性だったから調べる」という受け身の検査ではなく、将来のがんをその場で防げる検査でもある、ということです。がんが見つからなかった方にとっても、受けた意味は十分にあります。
「たぶん痔だから」がいちばん危ない
精密検査を受けない理由として最も多いのが、「痔があるから、その血だと思う」というものです。実際、痔をお持ちの方は多く、その考えは半分は当たっています。
けれど問題は、痔があることと、大腸にがんがないことは、まったく別の話だということです。痔がある方にも大腸がんはできます。そして痔があると「またいつもの出血だ」と考えてしまい、発見が遅れやすくなります。痔は、大腸を調べない理由にはなりません。
次のような理由で先延ばしにされていませんか? 痔があるから、その出血だと思う/おなかの調子は悪くないので必要ないと思う/前回も陽性だったが何もなかった/大腸カメラがつらそうで気が進まない/忙しくて時間が取れない。どれもよく伺う理由ですが、いずれも「大腸を調べなくてよい理由」にはなりません。
逆に、便潜血が陰性でも安心しきらないでください。出血していないタイミングの便では陰性になります。血便が出た、便が細くなった、便秘と下痢を繰り返す、体重が減ってきたといった症状がある場合は、陰性でも一度ご相談ください。
精密検査は、大腸カメラです
便潜血陽性に対する精密検査は、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)です。肛門から細いカメラを入れ、大腸の全体をすみずみまで直接観察します。出血の原因がどこにあるのかを、目で見て確かめられる唯一の方法です。

当院では、鎮静剤を用いた検査に対応しています。うとうとと眠っているような状態のまま検査を受けていただけるため、「つらそう」という不安から先延ばしにされている方にも受けていただきやすい体制です。あわせてAIによる診断支援を導入し、見落としを減らす工夫をしています。検査中に切除できるポリープが見つかった場合は、その場で切除することも可能です(日帰り)。
院長は消化器外科専門医・肝胆膵外科高度技能専門医として、大腸がんの手術にも数多く携わってきました。手術が必要な段階に至る前に見つけることを大切に、検査にあたっています。万が一治療が必要な病変が見つかった場合も、連携する医療機関へ速やかにおつなぎします。
検査を受けるまでの流れ
ご予約・事前の診察
健診の結果票をお持ちください。持病やお薬(特に血液をさらさらにするお薬)、これまでの検査歴を伺い、検査日を決めます。血をさらさらにするお薬は、種類によって一時中止が必要な場合がありますので、お薬手帳を必ずご持参ください。
検査前日の食事
前日は、種や海藻、きのこ、こんにゃくなど残りやすいものを避けていただきます。検査食をご用意することもできますので、ご相談ください。
当日の下剤
腸の中をきれいにするための下剤を飲んでいただきます。ここがいちばんの関門と感じる方が多いところです。飲み方や量には選択肢がありますので、つらかった経験のある方は遠慮なくお申し出ください。また、当院にはご不安な方のために朝から院内で下剤を内服できるトイレ付きの個室を準備しており、ありがたいことに皆様心地よく過ごされていおります。。
検査、そして結果のご説明
検査そのものは15分から30分程度です。鎮静剤を使った場合は、目が覚めるまでお休みいただきます。その日のうちに、画像をお見せしながら結果をご説明します。組織を採取した場合は、後日あらためて結果をお伝えします。鎮静剤を使った日は、車やバイク、自転車での来院はお控えください。

よくあるご質問
2日のうち1日だけ陽性でした。それでも受けるべきですか?
はい、精密検査の対象になります。がんやポリープは常に出血しているわけではないため、1日だけ陽性というのはむしろ自然なことです。「1日は陰性だったから軽い」という判断はできません。
もう一度、便潜血検査をやり直せばよいのでは?
再検査で陰性が出ても、大腸に何もないことの証明にはなりません。出血していないタイミングで採取すれば陰性になるためです。陽性が出た時点で、精密検査は大腸カメラと決まっています。
痛いですか。恥ずかしさもあって迷っています。
鎮静剤を使えば、寝ている間に終わることがほどんどです。当院の鎮静剤は使用後の目覚めも早く、現時点でほとんどの方が検査中のことを覚えていないほどです。検査技も検査用の使い捨ての着衣を用意しており、露出は最小限です。不安な点は、事前の診察で遠慮なくお話しください。
費用はどのくらいですか?
便潜血陽性に対する精密検査ですので、保険が適用されます。観察のみか、組織検査やポリープ切除を行うかによって金額が変わります。目安は事前の診察でお伝えしますので、お気軽にお尋ねください。
ポリープが見つかったら、その日に取れますか?
大きさや形、お飲みのお薬によっては、その場で切除できます。日帰りで対応可能です。ただし大きなものや出血のリスクが高い場合は、入院可能な施設をご紹介することがあります。
前回も陽性で、何もありませんでした。今回も同じでは?
前回きれいだったことは、今回の安全を保証しません。ポリープは数年かけて育ちます。前回の検査からどのくらい経っているかによって必要性は変わりますので、その情報も含めてご相談ください。
- この記事のまとめ
- 便潜血陽性でも、大腸がんが見つかるのは約3%。過度に怖がる必要はありません
- ただし精密検査を受けているのは約60%。受けないままの方が10人に4人います
- 30〜40%に見つかるポリープを切除することが、将来の大腸がんを防ぎます
- 「痔があるから」は、大腸を調べない理由にはなりません
- 当院は鎮静剤を用いた検査に対応し、下剤のつらさもご相談いただけます
結果票を受け取ってから時間が経ってしまった方も、遅すぎるということはありません。まずは一度ご相談ください。ご予約は画面右下の「WEB予約」または「LINE予約」からお進みいただけます。JR総武線「津田沼」駅から徒歩2分です。
この記事は一般的な情報提供を目的としたもので、個別の診断・治療に代わるものではありません。ご自身の症状や検査結果については、必ず医療機関でご相談ください。本文中の医学的内容は、国立がん研究センター「有効性評価に基づく大腸がん検診ガイドライン2024年度版」および日本大腸肛門病学会の公開情報を参考にしています。