2026年9月30日

健康診断で「ALTだけ高い」と指摘され、「ASTやγ-GTPは正常なのになぜだろう」「少し高いだけなら放置してもよいのだろうか」と気になっていませんか。ALTは肝臓の状態を反映しやすい数値で、ほかの肝機能項目が正常でも、脂肪肝や薬・サプリメント、肝炎などが背景にある場合があります。
ALTだけが高いときは、その数値を単独で見るのではなく、AST・γ-GTPなど他の項目との組み合わせで捉えることが、原因を考える手がかりになります。お酒をほとんど飲まない方や痩せている方でも高くなることがあり、1つの数値だけで原因を決めつけるのは適切ではありません。
この記事では、ALTだけ高いときの数値の見方(他項目との組み合わせ)を中心に、考えられる主な原因、受診の目安、改善に向けたポイントを解説します。肝機能の数値全般については、別記事「ALT・ASTが高い原因は?」でも詳しく解説していますので、あわせて参考にしてください。
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ALT・ASTなど数値の組み合わせによる見方

肝機能の結果は、ALT単独ではなく、ASTやγ-GTPなどとの組み合わせで見ることが重要です。同じ「ALTが高い」でも、ほかの項目が上がっているかどうかで考え方が変わります。まずは、この組み合わせの見方から確認していきましょう。
| 検査値の組み合わせ | 見方のポイント |
|---|---|
| ALTだけ高い | 肝細胞への影響を考え、持続する場合は原因を調べる |
| ASTだけ高い | 肝臓以外に筋肉などの影響も考える |
| AST・ALTが両方高い | 肝細胞障害の可能性を考え、ほかの肝機能項目も含めて評価する |
| γ-GTPも高い | 飲酒や胆道系の異常なども含めて評価する |
ALTだけ高い場合の考え方
ALTはASTと比べて肝臓に多く存在するため、ALTだけが高い場合でも肝細胞への影響を考える必要があります。ASTやγ-GTPが基準範囲内だからといって、肝臓に問題がないと判断することはできません。
一時的な変動なのか、背景に肝疾患があるのかもALT単独では見分けられません。そのため、高値が続いている場合は、ほかの血液検査や画像検査を組み合わせて評価します。
なお、ALTだけが高いときに特に考えたい原因については、次の章で詳しく取り上げます。
ASTやγ-GTPも高い場合との違い
ASTが高くALTが正常な場合は、ASTが心臓や骨格筋などにも含まれるため、肝臓以外の影響も視野に入れます。必要に応じてCKなど筋肉に関連する項目も確認し、上昇がどこから来ているのかを判断します。
ALTとともにγ-GTPも高い場合は、飲酒の影響や胆道系の異常などを含めて評価します。γ-GTPは飲酒との関連で知られていますが、お酒を飲む方だけが高くなる項目ではないため、「高いから飲酒が原因」「正常だから影響なし」と単純には判断できません。
このように、同じALT高値でも組み合わせによって考える方向が変わります。ALTとASTがともに高い場合の見方など、肝機能全般については別記事でもあわせて解説しています。
ALTだけ高くなる主な原因
ALTだけが高くなる背景には、脂肪肝をはじめ、薬やサプリメント、肝炎などが考えられます。ここでは、ほかの項目が正常でもALTが高くなりやすい、代表的な原因を取り上げます。飲酒や激しい運動など、ALT・ASTがともに動きやすい原因を含めた全体像は、別記事「ALT・ASTが高い原因は?」を参考にしてください。
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脂肪肝・MASLD
ALTだけ高いときに考えたい原因の一つが脂肪肝です。肝臓に脂肪がたまると肝細胞に負担がかかり、ALTが上昇する場合があります。
肝臓に脂肪がたまり、肥満や血糖高値、高血圧、中性脂肪高値などの心代謝系危険因子(代謝に関わる異常)を伴う場合は、MASLD(代謝機能障害関連脂肪性肝疾患)が考えられます。
見た目が痩せていても、内臓脂肪や血糖・脂質の異常を伴うケースはあります。「太っていないから脂肪肝ではない」と決めつけず、必要に応じて血液検査や画像検査で肝臓の状態を調べます。
薬・漢方・サプリメントの影響
処方薬や市販薬、漢方薬、健康食品、サプリメントなどが肝臓に影響し、ALTが上昇する場合があります。このような状態は薬物性肝障害と呼ばれます。
薬物性肝障害が現れるまでの期間は、薬剤や製品によって異なります。そのため、「長く使っているからALT高値とは関係ない」と、服用期間だけで関連を否定することはできません。
医薬品だけでなく健康食品などが関係するケースもあるため、原因を調べる際には普段使用しているものを含めて考える必要があります。
B型・C型肝炎などの肝疾患
B型肝炎やC型肝炎などでも、肝細胞に炎症が起こることでALTが高くなる場合があります。肝炎ウイルスに感染していても目立った症状がないことがあり、健康診断の肝機能異常をきっかけに初めて気づくケースもあります。
また、ALT上昇の背景には、自己免疫性肝炎など生活習慣とは直接関係しない肝疾患が隠れている可能性もあります。
飲酒や体重増加だけに原因を求めず、ALT高値が続く場合には肝疾患の可能性も含めて評価することが必要です。
ALTだけ高い状態を放置するリスク
ALTだけが高くても、体調に大きな変化がなければ「ほかの数値は正常だから大丈夫」と考えてしまうかもしれません。しかし、肝臓の病気には自覚症状が乏しいまま進行するものがあり、ALT高値が続いている場合は症状の有無だけで問題がないとは判断できません。
脂肪肝や慢性肝炎などによって肝臓の炎症が長期間続くと、肝臓に線維が蓄積する「線維化」が進む場合があります。さらに進行すると肝硬変に至り、疾患によっては肝がんのリスクが高まることもあります。
一方で、ALTだけ高い方すべてに重い肝疾患があるわけではありません。一時的な検査値の変動もあるため、必要以上に不安になる必要はありません。過去の検査結果や生活習慣なども含めて原因を調べ、必要な治療や経過観察につなげることが重要です。
ALTだけ高いときの受診目安と受診先

ALTだけ高い場合でも、一定の数値を超えている、異常が続いている、体調の変化があるといったケースでは、医療機関への相談が勧められます。数値の高さだけで緊急性を判断するのではなく、過去からの変化や症状も含めて考えましょう。
ALTが30U/Lを超えている場合
日本肝臓学会の「奈良宣言2023」では、健康診断などでALTが30U/Lを超えた場合、まずはかかりつけ医などを受診することが勧められています。
30U/Lを少し超えただけで重い肝疾患があるという意味ではありませんが、慢性肝臓病を早期に見つけるきっかけになります。
ASTやγ-GTPが正常でも、ALTが30U/Lを超えているなら「ほかは正常だから」と放置せず、健診結果を持参して一度医師へ相談するとよいでしょう。
高値が続く・前回より上昇している場合
今回だけでなく、以前の健康診断でもALT高値を指摘されている場合は、原因を調べることが重要です。基準値からの外れ方が小さくても、以前より数値が上昇しているなら経過を確認する必要があります。
脂肪肝などでは、ALTが大きく上昇せず、軽度の高値が続くこともあります。
受診時には、今回の結果票だけでなく、過去数年分の健診結果が残っていれば持参してください。数値の推移が分かると、一時的な異常なのか継続しているのかを判断する材料になります。
黄疸や強い倦怠感などがある場合
ALT高値に加えて、皮膚や白目が黄色くなる黄疸、濃い色の尿、強い倦怠感、食欲低下、吐き気などがある場合は、早めに医療機関を受診してください。
肝疾患は無症状で経過することもありますが、急性肝炎などでは体調の変化を伴うことがあります。
また、強い腹痛や発熱などがあるときは、肝臓だけでなく胆のうや胆管などの病気も考えられます。症状が強い場合や急激に悪化している場合は、再検査を待たずに速やかに受診しましょう。
受診先の考え方
健康診断でALTだけ高いと指摘された場合は、まず内科やかかりつけ医へ相談できます。詳しい検査が必要な場合や肝疾患が疑われる場合には、消化器内科や肝臓内科で専門的な評価を受けます。
特に、ALT高値が繰り返しみられる方や、過去に脂肪肝・肝炎などを指摘されたことがある方は、肝臓を専門とする医療機関への相談も選択肢です。
受診時には健診結果や過去の検査結果を持参すると、数値の経過を踏まえた診察につながります。原因を調べる際には、血液検査や腹部エコー、肝脂肪量・肝硬度の検査などを組み合わせて肝臓の状態を評価します。
ALTを下げるためのポイント

ALTを下げたいと考えたときは、数値だけを動かそうとするのではなく、上昇している原因に合わせて対応することが基本です。原因が違えば、必要な治療や生活習慣の見直し方も変わります。主な対応は次のとおりです。
- 原因となる疾患がある場合は適切な治療を受ける
- 脂肪肝や体重増加がある場合は食事・運動を見直す
- 飲酒が影響している場合は飲酒量や頻度を見直す
- 薬・サプリメントの使用状況を医師へ伝え、継続について相談する
検査で背景を確かめたうえで、自分に必要な対策を進めていきましょう。
脂肪肝・体重増加がある場合
脂肪肝や体重増加がALT高値の背景にある場合は、食事と運動を見直し、適正体重を目指すことが改善につながります。極端な食事制限ではなく、食べ過ぎを避けながら、主食・主菜・副菜を意識した食事を続けることが基本です。
甘い飲み物や間食が多い場合は、量や頻度も振り返ってみましょう。体重だけでなく、血糖や脂質、画像検査などの結果も踏まえながら、自分に合った見直しを進めます。
飲酒や薬・サプリメントが関係する場合
飲酒がALT高値に関係していると考えられる場合は、飲酒量や頻度を見直します。診察では、お酒の種類だけでなく、1回の量や週に何日飲むかまで伝えると、状況を評価する材料になります。飲酒量が多く、お酒を減らした際に手の震えや発汗、不眠などが出たことのある方は、アルコール依存や離脱症状にも注意が必要なため、自己判断だけで対応せず医療機関へ相談してください。
薬やサプリメントが関係している可能性がある場合は、使用しているものを医師へ伝え、継続について相談します。処方薬は、ALTが高いからといって自己判断で中止せず、処方した医師などへ相談したうえで対応してください。市販薬や漢方薬、健康食品なども、お薬手帳や商品名の分かる写真などを用意し、使用開始時期を伝えると、ALT高値との関連を考える材料になります。
まとめ | ALTだけ高い場合も組み合わせと原因の確認が大切
健康診断でALTだけ高い場合は、まずASTやγ-GTPなど他の項目との組み合わせで見ることが、原因を考える手がかりになります。ほかが正常でも、脂肪肝・MASLDや薬・サプリメント、B型・C型肝炎などが背景にあることがあり、肝臓に問題がないとは限りません。
日本肝臓学会では、ALTが30U/Lを超えた場合に、まずかかりつけ医などを受診することを勧めています。高値が続く場合は、血液検査や腹部エコーなどで背景を調べ、原因に合った対応につなげることが重要です。
レリア津田沼 内科 内視鏡・肝臓クリニックでは、日本肝臓学会認定 肝臓専門医による診療を行い、血液検査や腹部エコー、肝脂肪量・肝硬度の評価にも対応しています。健康診断でALTの異常を指摘された方は、お気軽にご相談ください。
当院の役割は、見続けることと、動くべきときを見極めることです。院長は日本肝胆膵外科学会 高度技能専門医として、膵臓の手術に数多く携わってきました。膵がんの手術をしてきた立場だからこそ、「どの時点で、どの施設へつなぐべきか」が判断できます。通いやすい場所で経過を見ていき、必要なときには専門施設へつなぎ、条件を満たせば経過観察を終える。その判断までを一貫して担います。